歯科ブログ

「糖尿病と口腔ケア」

こんにちは、八木歯科医院です。

今回は歯科医師会やメーカーの発行している雑誌を中心に、最近の歯科界のトピックスをお伝えしたいと思います。

① 「12歳の永久歯のむし歯本数が一人当たりの平均でついに1本を切りました!」
文部科学省の平成27年度学校保健統計調査速報によると、前年度より0.10本減少して0.90本となり、ついに1本を下回ったそうです。
調査が開始された昭和59年度が4.75本でしたので約1/5にまで減ったことになります。ちなみに最小は新潟県で、県として全国に先駆けて「歯科保健推進条例」を実施されています。また、歯ブラシの購入額の高さも全国有数です。

② 「むし歯菌と脳出血の発症に関連あり。口腔ケアが脳血管疾患の予防に繋がる!」
全脳卒中の約20%を占め、症状が重篤となり易い脳出血ですが、今まで主な原因として過度の塩分摂取、及び高血圧や糖尿病などの生活習慣病が挙げられていましたが、最近、国立循環器病研究センターの研究チームが大阪大学大学院歯学研究科や京都府立医科大学院等のチームとの共同研究で、むし歯の原因菌であるミュータンス菌が脳出血の発症に関与している事を突き止めました!
毎日の歯磨きや歯科医院での治療による口腔ケアの向上が脳出血の予防につながります。

③ 「全国での1日で歯科医院を受診される患者さん総数は136万3400人。そのうち60歳以上が全体の半数を占める。」
今後、私たち歯科医も医科の知識がもっと必要になってきます。循環器系の病気や糖尿病などの持病を持っている方は普通になってなってきています。

さて、今回のテーマもそんな事情に多少関係しています。

愛媛県松山市で「にしだわたる糖尿病内科」を開業されている西田亙先生のお話を読ませていただきました。リンクさせていただいた失礼をお許しください。先生はご自身の体験などから、いかに糖尿病の治療、改善に口腔ケアが必要かをお話しされています。

例えば、血糖値300の男性42歳の患者さんは症状の悪化により入院して病院食を食べながら1日4回のインスリン注射を行っておられました。ところが毎朝、枕が血で濡れるという事で歯科治療を受けられた結果、血糖値が一気に下がり、結局飲み薬一つになったそうです。月に1万5千円ほど負担していた治療費も数千円で済むようになられたとの事です。
それまで、先生が熱心に食事指導をされても改善されなかった食事内容がガラリと改善されたのは、実は重度の歯周病による「味覚障害」が原因で繊細な味が分からず、高カロリーの味の濃いモノばかりを食べていたせいだったようです。先生は歯周病によって「味覚障害」が起こりうるという、私たち歯科医にとって普通に認識してきた事を、何故もっと早くに医師に伝えなかったのか!と、厳しく指摘されています。
また、大人だけでなく小児性の糖尿病も同じく、歯周病の「味覚障害」による偏食が原因ではないかと指摘されています。

以上の事からだけでも、「糖尿病」の治療、改善にもっと歯科医は積極的に関わっていくべきだと言われています。
現在、「糖尿病」患者は2200万人ですが、歯周病患者は8000万人と言われています。内科などを受診されている「糖尿病」患者さんで、グラグラする歯がある、歯磨きすると血が出る、といった方は歯科医院でフォローさせていただく、逆に歯周病を主訴に歯科医院に来院された方は、歯科医が血糖値を計り、必要ならば「糖尿病」専門医を紹介させていただく、といった「医科歯科連携」が必要な時が来たようです。

当院は高血糖の患者さんの抜歯などのために血糖値測定器を常備していますので、「糖尿病」をお疑いの方や、今はそう思われていない方も一度測らせていただき、皆さんの健康維持に当院も少しでもお手伝いさせていただけましたら幸いです。

また、循環器系の病気で血をサラサラにする薬(ワーファリンなど)を服用されている患者さんも多いことから、「INR」(血の固まり具合を見ます)測定器も常備しています。これもぜひ活用していただきたいと思います。
定期的に血糖値とINR値を知っていただくことは大変有用な事と確信いたします。ご遠慮なく申し出てください!

西田先生は、「もし今の知識を持って歯科衛生士になれたら、きっと多くの人を救うことができる。だから僕は生まれ変わったら歯科衛生士になりたいと本気で思っているんです。」と言われています。
先生のこの言葉を私たち歯科医への叱咤激励と受け止め、今後も患者さんのために日々勉強をし続けていきたいと思います。

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